新型コロナウィルスの影響で、当教室の大事な行事も中止にせざるを得なくなりました。2月29日に準備していた中学入試結果報告会では、今春の中学入試概況の一部として次のようなことを話そうと考えていましたので、ここでご紹介しておきます。

 首都圏(1都3県)の2019年度現小学6年児童数が297,280人(文科省推定)に対して、中学受験者総数が51,500人(四谷大塚推定)でしたから、受験率は17.3%となりました。2016年16.3%→2017年17.1%→2018年17.2%と推移しており、中学受験率は微増傾向にあり、今春の中学入試もかなり厳しいものだったと言えます。
 県内の公立中高一貫校(5校)に目を向けてみますと、小学6年児童数が76,573名(県教委推定)に対して、2020年度公立中高一貫校志願者数が3,799名、適性検査受検者数は3,658名でしたから受検率は4.8%となります。2017年5.5%→2018年5.1%→2019年4.9%と推移しており、公立中高一貫校の受験率の方は微減傾向にあります。私学とは違い、定員しか合格者を出さないこと、試し受験しても合格できるものではないということがわかり、全体の受検率は落ち着いてきているのだと考えられます。
 話は変わりますが、都内ではトップレベルの公立高校が中高一貫校化する流れがあります。さらに2021年度から男子校の本郷が、2022年度から女子校の豊島岡女子学園が高校募集を停止する予定です。その分、この2校の中学入試定員枠は広がりましたが、何が問題になるかと言いますと、高校受験をするトップレベルの生徒の受け皿が減るということです。これは大変なことです。中学受験はそれなりにお金もかかりますし、全員が小学中学年から塾通いができる訳ではなく、格差社会の歪みが高校受験にも影響が出そうです。とは言え、このような状況ですから、今まで以上に真剣に中学受験を考えようというご家庭が増えるのではないかと思います。
 今の小学生の保護者が自身も中学受験経験者であること、祖父母からの中学受験への経済的支援が考えられること、大学入試改革への不安の高まりだったり、2016年度より実施された文科省による大学合格者数抑制策(定員の厳格化)などもさらに中学受験熱を加速させる要因になっていると考えられます。
 今後、児童数は少しずつ減少傾向に推移していきます。その中で、中学受験(検)率は以上のことも含め微増傾向か横ばいになっていくことが予想できます。
 万が一、中学受験をお考えになるのであれば、学習ペースをつかむ時期のことを考えますと、やはり小学4年生あたりから動かなければいけません。いろいろな選択肢は考えられますが、お子さんをどのような方向に進ませるのがよいかということは意外と早い段階で結論を出さなければいけなくなってきていると思います。(二宮)