2024年2月14日に行われた県内公立高校入学者選抜学力検査問題の数学について分析しました。
 全体の出題内容、出題傾向は例年とほとんど変化は見られませんでした。細かいところでは、問2の小問集合問題で出題数が5問から6問へと1問増、逆に問6の空間図形で3問から2問へと1問減となりました。毎年、難しい問題が数問組み込まれており、この点は今回も同様なので、確率の問題が2問とも解きやすかった分、県全体平均は若干上昇するかもしれません。学年ごとの出題割合は中1内容が19点、中2内容が32点、中3内容が49点と昨年度と比較すると中3内容から中2内容へ6点移動した配点となりました。(一部問題で学年で区切るのが難しいものもありますが。)
 次に各問ごとに見てみます。
 問1の計算問題では、例年と比較して設問数、難易度ともに変化はありませんでした。極めて平易な内容なのでここでの取りこぼしは避けなければなりません。
 問2の小問集合でも大きな変化は見られませんでした。(オ)で久し振りに球の体積が出題されました。表面積の公式も含めて受験生なら特筆するまでもないことかもしれません。
 問3の円の性質(平面図形)に関しては、(ア)の証明の穴埋めは昨年同様平易なものだったと思います。円周角定理を利用する問題では方程式を利用するなど若干工夫しなければならず、問題に解き慣れていないと苦戦した受検生も多かったのではないかと思います。(イ)のヒストグラムと箱ひげ図の融合問題は標準的なものですが、ポイントを抑えた上で解き進めないと意外と時間がかかってしまう点は注意が必要です。そして、今年の問題で最難問だったのが(ウ)でした。補助線を利用して、正三角形、二等辺三角形、直角二等辺三角形の3つを駆使して問われている線分の長さに辿り着くものでした。受検生達にとっては厄介なものでしたが、良問だったと思います。(エ)の濃度の問題は練習していれば平易なものでした。
 問4の関数の問題では、(ア)(イ)は例年どおりでした。(ウ)も同様でしたが、与えられた比から△ECO=△GCOに気づき、E、Gを通り、直線②に対して平行線を引くことがポイントでした。やや難しい内容であったことには違いありません。
 問5の確率は例年に比べると操作方法が分かりやすかったので、受検生にとっては解きやすいものだったと思います。2つのさいころの出た目の数に応じてカードを取り除くものなので、しっかり確認していけば正答に辿り着けたのではないでしょうか。
 問6は設問数が3つから2つに減りました。(ア)は三角錐の体積を求めるもので展開図からどのような立体になるのか理解できれば簡単なものでした。(イ)はよく出題される2点の最短距離を求める出題でした。ポイントは展開図を描き変えなければいけなかったことです。これができれば、辺の2等分点、3等分点から相似な図形を利用して、三角形の中点連結定理、三平方の定理から問われている線分の長さに行き着けばよいものでした。例年よりは解きやすかったとは思いますが、全体のレベルからするとやや難しいものだったと思います。
 最初にも確認しましたが、全体の半分が中3内容ですが、中1、中2内容で主要なものが出題されているので、これから受検を控えている中2、中1生は今学習している内容をできるだけ高いレベルで維持していくことが必要です。特に平面図形が難しめなので、図形の性質を中心にしっかり学習しておくことをお勧めします。中3生の皆さん、合格発表待ちではありますが、とりあえず受検お疲れ様でした。(二宮)

※数学の入試問題はこちらから参照できます。