漢字や英単語を覚えましょうとか口語文法や英文法を覚えましょうとか今まで何度口にしてきたでしょうか。覚える事は勉強ではない、考えることにこそ学習の本分があるとかそんな意見もよく聞きます。覚える事の形骸化について小学生や中学生たちの言い分としてはスマホやパソコンで調べれば直ぐに分かるし英語に関してはグーグル翻訳で間に合うし、将来外国へ行く予定も無いということらしいのです。彼等にしてみれば論理的な主張ではありますが、大いなる欠陥があると言えます。
 漢字が書けない読めなくても生きていけますし、英文法を知らなくても生きていけます。ただし、どこかで自分の思考で切り抜けて行かなければならない岐路に出くわすことが必ずあります。その折にどのように振る舞うかその選択肢を広げるために知識が必要なのではないでしょうか。もちろん漢字を知っていればそれが出来るという訳でもありませんが、漢字や文法やその他諸々のものが総合的に知識を形成していくのです。
 残念ながらそのことを小学生や中学生に伝えてもなかなか腑には落ちてくれません。ですが、何気ない雑談だったり、取るに足らない会話だったりが生徒たちの糧になることもあると思います。今、覚えている事が果たして何の役に立つのかその判断が出来るようになるために今覚えなければならないのです。空気のように纏ってくれれば一番いいのですが、なかなか王道は見つかりません。     (吉川)