このコロナ禍においてその存在感が大きく増したテレワークが世の中の流れを変えていくといったような風潮があるようです。たしかに人口の一極集中から地方分散化へなどが社会テーマとして取り上げられて久しいですが、その問題の解消の一因になり得る可能性はあると思います。ですが、全てが万事上手くいくとは到底私には思えません。テレワークだけで賄える仕事とそうでない仕事が世の中には存在します。その比率は圧倒的に賄えないものの方が多いのではないでしょうか。
 たとえば大学や高校などでリモート授業が行われていますが、果たして満足にその効果を上げているのでしょうか。大学には入学できても数回しか学校で授業を受けていない生徒の多くが不満を抱えているようです。そもそも学校とは学力を蓄積させることのみが命題とはなっていないところにこの不満の要因があると私は思います。世の中の仕組みや人間関係など画面越しでは理解できない多くの要素が存在しています。それらを身をもって体感したときに体得できる何かがこの世には沢山有るはずです。学生達はそのことに気が付いていて、そのことを求めて学校へ通うといった面があるのではないでしょうか。
 個々の人間の特性とはその人間の持っている雰囲気など臨場して初めて掴めるものも少なくないはずです。リモートが悪いわけではありません。ただし生身であることの本質も見過ごすことは出来ません。(吉川)