私の担当している国語に関して、中学校では教科書を使わない授業をされる先生が少なくないようです。文部科学省のカリキュラムに則ってその課程は進められているのだと思うのですが、プリントを配布した授業が多いように感じられます。そのプリントは現行の教科書には載っていないものを扱っていることも多いようです。
毎年数年単位で教科書は改訂されていきます。私がこの仕事に就いてからも幾度となく教科書は改訂されています。それに伴って、以前は教科書に載っていた作品も新しい教科書からは外されることは少なくありません。にも関わらず、前教科書の作品をそのまま授業で扱っているのにはどんな事情があるのでしょう。
考えられるのは、以前の作品がとても素晴らしいもので、どうしても生徒たちに伝えたいという教師としての矜恃があって指導する場合。これはその教師の教育理念に基づいて施される授業ですから、十分に納得できるものです。もう一つ考えられるのが、新しく教材を準備する手間を惜しんでいる場合。手間を惜しむというのは正しく無いかもしれません。教師という仕事の過酷さを思えば教材研究をする時間がないようなことは想像に難くありません。やりたくてもその時間が確保できず、お座なりな対応を取らざるを得ないということはあるかもしれません。ただし、教科書が見直されていく事の意義を思えば、数回の改定を経ても根強く旧弊のプリントで授業をすることは再考の余地があるのではないでしょうか。
教師のサービス残業、過労死といったニュースは日々報道されています。先生方の労働環境の改善などは急務のことと言えます。また、それが子どもたちに質の良い教育を提供することにもなるのではないでしょうか。    吉川