先週の土曜日、市が主催する文化講演会に行って来ました。今回が第1回の開催だったのですが、将棋棋士の羽生善治先生が講演されるということでインターネットで申し込み、抽選の結果、運良く当選できたので喜んで出席してきました。
会の始めに、地元の幼稚園、小学校、中学校を卒業され、現在、囲碁界で活躍されている大西竜平七段によるパネルディスカッション形式によるトークショーが行われました。将棋界でも藤井聡太六冠が活躍されていますが、大西先生も若干二十歳で七段に昇段した新鋭です。小学五年生から中学一年生にかけて韓国に囲碁留学されたとのことですが、言葉もわからない、文化も違う地に渡り、親元離れて武者修行されたことは大変だったと思います。しかし、トークの内容からは全くそのような感じを受けなかったのは物腰の柔らかい話し方や温和なお人柄もあったためかもしれません。トークショーは二十分間でしたが、司会の女性の方との軽やかなやり取りもあり、とても楽しく拝聴できました。
その後、羽生九段による講演と続きました。今回は「決断力を磨く」というテーマの八十分間の講演でしたが、その中で「大局観・直感・読みについて」「集中力について」「決断力について」「好不調について」「将棋の歴史について」「AI(人工知能)の普及について」など、数多くの話題をとてもわかりやすく説明されていました。多くの経験を積まれてきた方なので引き出しが多く、一つ一つの話にも説得力があり、とても興味深いものでした。いつもは何時間も黙って考え、駒を動かしている方が今回のように多勢の前でジョークも交えながら軽快に話をさせている姿を目の当たりにして、人間の大きさを感じさせられました。
将棋番組を見ると、いつも感心させられるのが対局後に行われる感想戦です。将棋にご興味のない方は何のことやら理解できないと思いますが、対局終了後に、開始から終局まで、またはその一部を再現し、対局中の着手の善し悪しや、その局面における最善手などを検討することを言います。そのとき、駒をパパパっと動かし始め、対局を再現しながら対戦者同時で話をするのですが、よくも数十手から百数十手分の駒を正確に覚えられるものだといつも感心させられます。羽生先生曰く、「私達が歌の歌詞を覚えるのと同じ感覚なのだ」とおっしゃっていました。また、対戦相手が長考しているときなどは、もちろんロジック的なことは考えているそうですが、どうやらずっとそればかりを考えていることではないそうです。「今日のお昼ご飯は何にしようかとかおやつは何がいいかな」などを考えることもあるそうで、やはりそういうこともあるのだなと話を聞きながら大笑いしてしまいました。その他、「長考に好手なし」とか「緊張やプレッシャーを感じることは悪いことではない」など興味深いお話が数多くありましたが、事細かに記していくととてもではありませんが切りがないので、このブログの記事としては詳細は割愛致します。因みに羽生九段の一番好きな駒は「銀」だそうです。
今回の機会は非常に有意義なものでした。楽しい一時を過ごすことができ、羽生善治先生、大西竜平先生には感謝の言葉しかありません。どうもありがとうございました。やはり人の話を聞くと言うことは楽しいものですし、とても刺激を受けます。また、このような機会があれば、積極的に行動したいと思います。今、一番興味のある方はイェール大学助教授で経済学者でもある成田悠輔さんです。この方のお話は是非聞いてみたいものです。(二宮)