2022年2月15日に神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜が実施されました。県教委によりますと、全日制課程の募集定員39,535人に対して46,013人が受検し、競争倍率は1.16倍となったそうです。
さて、今回の数学の入試問題ですが、全体の大問構成、出題傾向では大きな変化は見られませんでした。今回は箱ひげ図が出題されるのではないかと考えていましたが、出題されませんでした。大問数は6、小問数は27と出題数に関しては昨年度と同様でした。
それでは、各問いごとに具体的に見ていきます。
問1、問2は小問集合で、基本的な計算問題や因数分解、2次方程式の計算、根号のついた数の計算といった各分野の基本問題で構成されていました。計35点分の配点ですが、ここでの失点は許されず、すべて得点しておきたいところです。
問3は昨年同様、思考力が試される問題を集めたものでした。(ア)は、三角形の合同と角の大きさ、(イ)は度数分布表とヒストグラム、(ウ)と(エ)は円の性質と相似を利用する角度と面積の問題でした。問題慣れしていないと1つ1つに時間がかかり、そういう意味では前半の山場だったと思います。(エ)の平面図形では補助線を利用して相似な三角形を作り、指定された三角形の面積を求めなければいけませんでしたが、全体の正答率はかなり低かったのではないかと思われます。
問4は関数の問題でした。グラフが昨年同様それほど入り組んでいなかったため、解きやすかったのではないかと思います。(ウ)は過去問題をしっかり練習していれば解くことができるレベルだったと思います。
問5は確率の問題でした。大、小2つのさいころを振って10㎝の線分を2本に分けて、それらを一辺とする正方形の面積を比べる問題でした。例年なら(ア)は確率を選択肢から選び、(イ)は自力で答えるものでしたが、今回は2問とも自力で答えるものに変わっていました。この点でも多少難度が上がったと言えるでしょう。(イ)は下手に不等式で解こうとするよりは考えられるものをすべて書き出した方が早く、解きやすかったと思います。これは授業内でもアドバイスしてきたことなので、そのように解いてくれたのではないかと期待しています。いずれにしても、確率の問題は時間との戦いでもあるので、焦らず丁寧に作業していくことがポイントです。
問6は四角柱を利用した三平方の定理の応用問題でした。(ア)、(イ)では四角柱の体積、3点を結ぶ三角形の面積が問われましたが、平易なものでした。(ウ)は線の長さの最短距離を求める問題でした。四角柱の表面を通る面の展開図を作図して、三平方の定理を利用するお決まりのパターンです。そのためには3:4:5の辺の比を持つ三角形の相似を利用しなければいけなかったので、これに気づかないと途中で行き詰まったのではないかと考えられます。いろいろなパターンの問題に触れておくことが必要です。
総括として、全体的なレベルは昨年より若干上がり、全体の平均点は6、7点は下がるのではないかと予想します。問3で出題されたような思考力が問われる問題は今後の傾向として押さえておきたいところです。資料の整理、確率、関数の応用、三角形の相似を絡めた比、円の性質を利用した相似な図形の証明など幅広く学習し、手際よく処理するスピードの練習が必要です。日頃から多くの問題に触れておくことが大事です。ここで初見の問題を潰しておけば、入試ではその経験から必ず糸口を見つけることができるはずです。あとは、時間を意識して問題を解くこと、粘り強く考え抜くことなどを習慣づけることが数学のレベルを上げていく方法です。(二宮)
【出題内容と配点】
問1.計算問題5題[計:15点]
問2.小問集合(基本)6題[計:20点]
問3.思考力問題4題[計:25点]
問4.関数[計:15点]
問5.確率[計:10点]
問6.空間図形(三平方の定理)[計:15点]