「なぜ学校へ行かなくてはならないのか?」この問題の提起は就学世代にある人であれば一度は脳裏をかすめたことのあるものなのではないでしょうか。大人になった私でも明確な答えは見つかっていないような気がします。学校は勉強を教えるだけでなく、成長過程にあった社会性への順応を促す場であると一般的には考えられています。しかし、学校に行きたがらない小学一年生に、だから学校に行くんだよと諭したところで素直に登校するとは思えません。だいいち通学している生徒全てが今日はこれを学ぼうなどと決意して通っているわけではありません。そんなことを考えると、学校の先生という仕事がいかに大変であるか想像に難くありません。
それに対して「なぜ塾に行くのか?」という問題に対してはある程度明確な解答を得ることができます。成績を上げるため、テストで良い点を取るため、志望校に合格するため、知識を増やすためなどだいたいの似たような価値観を有している生徒が塾に通っているはずです。その点で言えば塾の講師は学校の先生に比べて教えることに関して言えば恵まれていると言えます。ですが、そうとも言えない現状もあります。
例えば本人の意思とは全く相容れず親に無理矢理入塾させられた生徒などは、本人には学習する意欲そのものが欠如しているわけですから、宿題やテストなどは全く意に介さない場合があります。それでもその後、授業に興味を持ち出して真剣に取り組むようになる生徒も中にはいます。また定期テストに向けた補習に参加していてもおしゃべりや居眠りをしている生徒もいます。もちろんそのような生徒には学習を促しますが、一向に態度を改めない生徒も中にはいます。そのような生徒に接すると、「なぜ塾に通っているのか?」私には分からなくなってしまいます。
友達とおしゃべりがしたいから、家にいると家人からの突き上げがつらいから、体裁を整えたいからなどと低俗な価値観で塾に通うにはその授業料はあまりにも高すぎます。最低限の向学心を持って塾には通って欲しいものです
(吉川)