神奈川県の公立高校の入試で国語は漢字を書かせなくなって数年が経ちました。漢字を問う問題や読ませる問題は今でも出題されていますが、トメやハネに留意して漢字を書くことは出題されていません。多分この事を受けてか、塾の近隣の中学校では定期テストで漢字を読みだけの出題に留める学校が増えてきているようです。そもそも漢字を書かせるという問題を出題しなくなったことの背景には何があるのでしょうか。
一億総ソーシャルネットワーク時代とでも言うのでしょうか、今誰もが携帯電話を有し、パソコンやタブレットといったITツールもかなりの普及率をほこり、学校の授業自体も
リモートで行われる時代です。そんな時代に漢字を紙に書く機会が果たしてどれほどあるかといった事なのかもしれません。メールやパソコンでは自動で変換してくれたりもします。もはや正しい漢字を書くことよりも選ぶことが主流になりつつあります。そんな状況であれば漢字を書くことの必要性は無くなってしまうことも頷けます。
漢字は書けなくても、読めれば、意味が分かればいいというのは確かに合理的なことのような気がします。ですが、何時間も掛けて漢字の書き取りをすることが全くの無意味な行為であるとは思えません。意味を覚える、筆順を覚える、由来を覚えるなどの近道はやはり書くことにあるような気がします。「手で覚える」などと昔はよく言われていましたが、そこにはやはり先人たちの知恵のエッセンスが含まれているような気がします。
書くことが面倒くさい事に乗じて漢字の合理性を信奉してしまうのはもったいないような気がします。 (吉川)