昨日(15日)神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜が実施されました。全日制課程の募集定員38,739人に対して45,374人が出願し、競争倍率は1.17倍であったと県教委から発表されました。受験生の皆さんがしっかり実力を出し切れていれば幸いに思います。
それでは今回の数学の入試問題について分析していきます。全体の大問構成、出題傾向では変化は見られませんでした。昨年、大問が7問から6問に減りましたが、今回は前回を踏襲した形となったと言えます。
ここから先は各問いごとに具体的に見ていきたいと思います。
問1、問2は小問集合で、基本的な計算問題や因数分解、2次方程式の計算といった各分野の基本問題で構成されていました。計39点分の配点ですが、すべて得点しておきたいところです。
問3は昨年同様、思考力が試される問題を集めたものになりました。(ア)は、三角形の合同と面積比、(イ)は相対度数の分布と折れ線グラフ、(ウ)は関数の問題、(エ)は連立方程式の利用でした。1つ1つはそれほど難しくはありませんが、各分野をしっかり理解していないと正解に辿り着けないものばかりなので、前半の山場だと思われます。唯一難問だったのは(ア)の(ⅱ)です。面積比から線分の長さを求める問題でしたが、2次方程式を利用するのが基本路線です。面積比の利用の仕方がポイントですが、受験生には難しく感じられたのではないでしょうか。おそらく全体の正答率は低かったと思われます。
問4は関数の問題でした。グラフが昨年同様それほど入り組んでいなかったため、解きやすかったのではないかと思います。(ウ)はパターン通り、平行線を利用するものでしたが、その直線の式をどのように求めるか、指針次第だったと思います。気がつけばあとは2直線の交点を求めるだけなので、正答まで辿り着けたはずです。
問5は確率の問題でした。大、小2つのさいころからカードを移動させるものですが、丁寧な作業が要求される問題です。時間との戦いもあるので、焦らずに作業できれば得点できた問題だと感じました。
問6は円錐を利用した三平方の定理の応用問題でした。(ア)(イ)では円錐の体積、表面積が問われましたが、平易なものでした。この類の問題は十分に練習してきたでしょうから多くの受験生が得点できたと考えられます。(ウ)は線の長さの最短距離を求める問題でした。これも必須問題としてパターン練習を重ねてきたものだったと思います。例年と違ったのは最短距離を2回利用しなければいけなかったことです。30°、60°、90°の直角三角形を利用し、落ち着いて取り組めばきちんと着地まで持って行けたのではないでしょうか。
総括として、全体的なレベルは昨年並みか若干得点しやすかったのではないかと感じまます。問3で出題されたような思考力が問われる問題は今後の傾向として押さえておきたいところです。資料の整理、確率、関数の応用、三角形の相似を絡めた比、円の性質を利用した証明問題や円周角定理など幅広く学習し、手際よく処理するスピードの練習が必要です。日頃から多くの問題に触れておくことが大事です。ここで初見の問題を潰しておけば、入試ではその経験から必ず糸口を見つけることができるはずです。あとは、時間を意識して問題を解くこと、粘り強く考え抜くことなどを習慣づけることが数学のレベルを上げていく方法です。(二宮)
【出題内容と配点】
問1.計算問題5題[計:15点]
問2.小問集合(基本)6題[計:24点]
問3.思考力問題4題[計:23点]
問4.関数[計:14点]
問5.確率[計:10点]
問6.空間図形(三平方の定理)[計:14点]