最近授業をしていてよく思うのは、素直な生徒が多くなったということです。素直という言葉は当然良い意味で使われることの多い言葉であります。「素直で良いお子さんですね。」は褒め言葉の常套句と言えます。昔から素直さは美徳の一つとして信じられてきました。それはそういうものではあるのでしょうが、かつて教えていた生徒達はもう少し我があったような気がします。
素直さイコール従順と考えるのであれば指導する立場としては圧倒的に従順である方が指導はし易いと言えます。「何時何時までに何々をしてきなさい。」と言えば必ず果たされて、「何々だからこうなんだ。」と言えばそこに反論の余地はありません。大人しくノートに板書された模範解答を写すだけです。これは何とも味気ない授業となってしまいます。かつての生徒の皆が皆そうではありませんが、クラスに一人や二人は明らかな誤答に対して誤答なりの根拠で私を説き伏せようとする生徒がいたような気がします。
近年そういった生徒は少なくなってきました。それが悪いとは思いませんが、残念であるような気がします。ただ字面を目で追いかけて、何の反応も無いまま設問を機械的に消化していく、それで正答を重ねて高評価を得る。そう言ってしまえば何とも味気ないものになってしまいます。出口の部分で高評価を得ることだけでなく、自分の血肉となるということに昇華されていくのが本丸であると思います。
そんなことを考えながら授業をしています。(吉川)