中学三年生の中にはもう部活動を引退した生徒もいるようです。さぞかし万感の思いを抱えているのであろうと労いの言葉を掛けたのですが、いたって淡白な様子。そこまで部活動に対しての思い入れといったものが無いのかと少し拍子抜けしてしまいました。新型コロナウイルスの影響で部活動の方でも大きく制限を受け、そこに向ける情熱が育まれず、それによって部活動が無くなる寂寥感や悔しさ、名残惜しさといったものが欠如しているのかもしれません。
 私の中学生の頃は部活動に掛ける情熱といったら今の中学生には理解できないほど凄まじいものでした。部活をするために学校に通っていると言っても過言で無いくらい部活一色の中学・高校時代でした。そんな私からすれば、引退した生徒たちのあっさりした態度は甚だ理解が出来ません。そんな話をすると、生徒たちの反応は時代錯誤とか旧態依然とか憐れみや蔑みの表情で私を見てきます。
 これも時代の流れなのかと諦め気味の私ですが、甲子園大会の球児たちの直向きな真っ直ぐな表情を見ると、ここにはまだそれが残っていると確信が持て、嬉しく思います。特に予選で目にする選手達のプレーは私を安堵させてくれます。
 上手い下手では無く何かに打ち込めれば、それは部活動でなくても良いのかもしれません。ですが、そういった経験を経ることが無いのであればそれは残念と言わざるを得ません。まだそれが見つからない人もこれからその機会を得てくれればと願わずにはいられません。(吉川)