昨年度の私立中学校の入試問題の分析を行っています。各学校問題数や大問の数など大きな違いはありませんが、小問の設問で「語句の意味」を問う問題が定番になりつつあるかなといった感想を持ちました。一口に「語句の意味」を問う問題といっても中々奥が深く、文章の場面の中で使われている正しい語句の意味を選ぶ問題がほとんどなのですが、意味を知っていれば何の苦労も無く正答できる問題もあれば、多義語的にいくつもの意味を持つ語句もあり、はたまた選択肢がほぼ同じような内容で正確な意味まで把握していな
いと解答できないものもあります。  
 例えば「鵜呑みにする」の正しい意味を選ぶ問題
  ア 現状のまま変化しないように保つこと。イ 人を批判しているのに表面は従うこと。 ウ 時間をかけず理解してまねをすること。 エ 真意をよく理解せずに受け入れること。    解答 エ
 この問題では本文を読まなくても語句の意味を知っていれば造作なく正答できます。
  次に「のし歩く」の正しい意味を選ぶ問題
   ア 偉そうな様子で歩く イ 心躍(おど)る様子で歩く  ウ 誇(ほこ)らしげな様子で歩く  エ おびえた様子で歩く  オ 落ち着いた様子で歩く                                              解答 ア
 こちらの問題では選択肢が五つあり、述語が全て「歩く」です。ほとんどの生徒の頭の中には「のし歩く」という語彙が存在しないことは十分に想像できます。プラスの意味が三つ、マイナスの意味が二つと何とも悩ましい問題です。マイナスの意味だと判断できたとしてもまだ正答にはたどり着けません。あとは文の中での適正を図るしかありません。
 このような問題が近年とみに増えてきているような気がします。知識偏重からの脱皮を掲げる学校は多いようですが、こういった傾向も出てきているようです。   (吉川)