間もなく令和3年度の神奈川県公立高校入試結果が発表となります。受験生たちにしてみれば気が気でない日々があと数日続くことになります。試験後、塾に顔を出してくれた生徒の表情は悪くは無かったように感じられました。
さて、今年の入試の国語に関してざっくりとした感想を述べていきたいと思います。全体として全くの例年通りの出題形式でありました。大問の一の漢字の読みや同一漢字の選択、助詞の識別、俳句の解釈と定番の出題でありました。今年に限って言えば中三内容の漢字が出題から漏れたということがありましたが、そのことによって小学校から中学二年までの漢字を完璧に覚えることができると言うわけではないので、例年並みの難度と言えそうです。
古文に関しても出題文章の長さや出題数、形式も例年並みでした。尼の厚い信仰心によって起こる現象を理解できたかどうかが得点を左右したのではないでしょうか。登場人物や構成はいたって単純で読みやすい文章であったと思います。
文学的文章に関しては、ここ数年時代物が選ばれています。竹細工職人や画商など今年も江戸時代の花火屋の主人を主人公にした作品が出題されました。常識的な価値観を持った主人公が困難に直面し自分の中に新しい価値観を構築していく典型的な成長物語と言えます。主人公を取り巻く人間の性格の把握がポイントになります。出題の傾向は例年通り平たいものでありました。
説明的文章はネット情報と読書など本から得られる情報の違いや、そこから得られる知識の体系といったものについて、筆者の論説を読み取るというものでした。ネットと書物を対照的に取り上げて文章は展開されていきますが、この二つの相違を筆者の主張通り理解できたかどうかが鍵を握っています。使われている言葉がそれ程難しくなく、中学生にも理解できるものが多く使われていたので、例年に比べて若干読みやすい文章であったような気がします。
最後の資料の読み取りも例年通りで、モーダルシフトという言葉を事前に知っていれば記述の内容も容易に想像できたのではないでしょうか。の問題は表やグラフを見れば確実に答えが見つかる問題ですが、いかに短い時間で処理するかといったことが問題になります。
総じて、例年通りか少し易しくなったような印象を受けました。(吉川)