国語において、受験時に事前に学習したことのある文章がまるまる出題されることはよくあることではありませんが、ままあることです。もちろん読んだことのある文章が出題されれば大きなアドバンテージとなることは間違いありません。毎年近隣の各学校の入試問題を読んでいますが、この文章は授業でやったとか、この作品の違う場面を授業で扱ったとか、この作者の違う作品は授業で読んだとかといったことはかなりの確率であります。
同じ作品ではなくても、論説文などでは作者の主張はブレずに合致していることが多いので、作者の主張が頭の片隅にあれば大いに読解の手助けと成り得ます。また文学的文章においては、同じ作品の違う場面が出題されれば、登場人物の背景や性格などは既に分かっているので、これも読解の一助となってくれるはずです。このように沢山の文章に触れていれば何かと有利に働くことが多いのですが、授業で生徒達に「この文章は以前読みましたね」と問うと「覚えていません」とか「そんなような気がします」とか心許ない返事が多いです。
興味がなければ覚えていないということも分からないではありませんが、文章経験で知識を蓄えるという点においては、折角時間を掛けて読んだのであれば、多少なりとも記憶していて欲しいとつくづく思います。特に説明的文章においてはです。 吉川