大きな変化が見られた今年度の社会の問題についてみていこう。配点は次のとおりである。

問1 世界の地理      設問数3 小計12点 ⇐6問18点
問2 日本の地理      設問数4 小計14点 ⇐6問17点
問3 江戸時代までの歴史  設問数5 小計15点 ⇐6問18点
問4 明治時代以降の歴史  設問数5 小計14点 ⇐6問17点
問5 公民総合       設問数5 小計14点   ⇐6問18点
問6 公民総合       設問数5 小計14点 ⇐4問12点
問7 融合問題       設問数4 小計17点【(エ)のみ中間点あり、5点、3点、2点】

 例年通り、分野としては世界地理・日本地理・歴史・公民からまんべんなく出題されたが、大問が1題増えて7題となり、その大問が地理・歴史・公民の融合問題となった。独立して融合問題が出題されたのは初めてのことである。小問数は34問から31問に減った。これまでの社会の問題は他教科に比べ難易度が高く、合格者平均も50点に満たない状況が続いていたが今年度の問題を見る限り合格者平均は15点程度上がるであろう。

問1の世界地理では、北極点を中心にした正距方位図法の地図をもとにした出題が見られた。世界地理の出題はこれまでの6問から3問に減ったことにより、出題パターンも大きく変更された。
問2の日本地理では、例年通り地形図の読み取りが出題されたが、方位などが省略された案内図との関連を問う出題は初めてである。雨温図の読み取り、資料の読み取りなど比較的解きやすい問題が目立つ。
問3の江戸時代までの歴史は、これまでのような細かな読み取りではなく時代の大きな流れを掴んでいれば解ける問題になった。出来事を並べ替える問題もこれまでに比べ正答率が高いであろう。
問4の明治時代以降の歴史では、日本とアメリカ合衆国のとの貿易額の推移をグラフから読み取る問題が出題されたが、こちらも例年に比べわかりやすい統計資料であった。
問5・6の公民では、初めて正誤問題が出題された。表や資料の読み取り問題もこれまで以上に易しくなった。
問7の地理・歴史・公民の融合問題では、資料問題を中心に情報処理能力を問うものが多く、今年度はこの問7に時間を割くことになったであろう。例年問1に見られた時差の出題も見られたが、例年に比べ難易度は下がっている。大問の中に異なる分野の問題が出題されたのが始めてのことで、戸惑いも多かったように思う。
全体的に情報処理能力を求めている出題の意図はこれまで通りだが、選択肢の作りこみがなくなり比較的素直な問題が多く見られた。また文章理解も細部まで読み取らなくともキーワードを見つけ出すものが目立った。