全体の感想としては昨年と同等か易しくなっていたように感じます。大問1の漢字の読みに関しては例年一つくらいは正答率の低い読みの漢字があるのですが、今回は平易なものが揃っていました。小問イでの漢字を選ぶ方式も踏襲されており、差の付く問題構成にはなっていませんでした。小問ウの文法問題は格助詞「が」の識別で比較的に分かり易い問題と言えます。小問エの短歌の説明も表現技法を理解していれば何の問題もないものでした。大問2の古文も例年通りの字数のもので、解説を参考にして読めれば解釈は難くなかったと思われます。
大問3の文学的文章、昨年は画商を主人公にした小説で、今回はクリーニング店に勤める染み抜き職人が主人公の小説でした。以前は中学生や高校生を主人公にした文章が多かったのですが、ここ最近は特別な職業をテーマにしたものが主流となっているようです。主人公を取り巻く登場人物との関係性を上手く掴めたかどうかで内容理解に差が付いたのではないでしょうか。ただし、設問自体は平易であったようにおもわれます。大問4は説明的文章で科学をテーマにした論説文でした。例年この大問4で大きな差が付くのですが、今年もその傾向が見られたのではないでしょうか。「科学的な知見」の正体とその作り出される過程についての説明、そして本来あるべき姿について論説されていました。中学生にとっては難しい言葉も多数使われていますが、全体として把握が出来ていれば設問を解くことは充分に可能だったと思います。文中からの書き抜きが2語(完全解答)ありましたが、そこまで難しいものではありませんでした。大問の3、4での記述問題は今年も出題がありませんでした。
大問の5、資料の読み取りに関しても記述が30字前後と記述と呼べるようなものでもありませんでした。アの設問で表から「割合」に換算して理解する必要のある問題が出題されましたが、これも平易なものでありました。
やはり、説明的文章で大きく差の付く例年通りの問題構成と言えそうです。ただし、全体としては易しかったように感じました。                                                                                            吉川