テレビドラマというとNHKの大河ドラマくらいしか見ていないのですが、今TBSで放送されている「日本沈没~希望のひと」を毎週楽しみにしています。原作の「日本沈没」がベストセラーとなったのは1970年代のことで、映画やドラマ化されて大ヒットした作品です。当時はまだあまり知られていなかった「プレートテクトニクス(プレート説)」を世に知らしめるセンセーショナルなSF小説だったと記憶しています。作者は、当時SF小説の「御三家」のひとり、小松左京さんです。もっとも私は高校・大学生時代には「御三家」のもうひとりである筒井康隆さんの単行本を読みあさっていました。(ちなみに残る「御三家」のひとりは星新一さんです)
 「日本沈没」の印象が強いのは、筒井康隆さんの短編の中に「日本以外全部沈没」というパロディーがあり、これが大変面白かったためです。この作品も小松左京さん公認の下映画化されて話題になりました。筒井康隆さんの短編はこうしたパロディーが多く、気軽に楽しめた思いがあります。ただ、パロディーだけでなくシリアスな作品も数多く、「時をかける少女」は皆さんもよくご存じかと思います。個人的にはテレパス(精神感応者)がヒロインの七瀬三部作(家族八景・七瀬ふたたび・エディプスの恋人)がお気に入りでした。
 現在放映中のドラマは原作を今の時代に移植した形で作られており、作品の「古さ」を感じさせません。危機に警鐘を鳴らす地質学者の名前が原作と同じ「田所博士」というのをみてホッとした次第です。危機を回避しようとする官僚や政治家、ジャーナリストなどの織りなす人間模様もこれからどうなるのか楽しみなところです。(榎原)