2020年2月14日に神奈川県公立高校入試(共通選抜)が実施されました。県教委によりますと、全日制課程の募集定員40,205人に対して46,926人が出願し、平均競争倍率は1.17倍となったそうです。
 さて、今回の数学の入試問題ですが、全体の大問構成、出題傾向で変化が見られました。具体的には大問が7問から6問へ減り、一方でマーク式での解答は62点分から72点分と10点増えました。
 それでは、各問いごとに具体的に見ていきます。
 問1、問2は小問集合で、基本的な計算問題や因数分解、2次方程式の計算など各分野の基本問題で構成されています。問1(オ)では、根号を含む乗法公式を利用するものが出題されました。
 問3は思考力が試される問題を集めたものになりました。(ア)は、例年問7で出題されていた円の性質を含む証明問題、(イ)はヒストグラム、(ウ)は連比を絡めた相似な図形の問題、(エ)は歯車を使った反比例の問題でした。1つ1つはそれほど難しくはありませんが、各分野をしっかり理解していないとすぐに解けないものばかりなので、前半の山場であったことでしょう。
 問4は関数の問題でした。ほぼ例年通りでしたが、グラフが例年ほど入り組んでいなかったため、(ウ)の三角形と四角形の面積比の問題を含めて解きやすかったと思います。
 問5は確率の問題で、さいころではなくカードからの出題でした。立方体を利用したものでしたが、全体的に解きやすいものでした。(イ)では正方形の1辺、正方形の対角線、立方体の対角線の組み合わせに注意して解き進めることができれば上手く処理できたのではないかと思います。
 問6は三角錐の展開図を利用した三平方の定理の応用問題でした。(イ)で三角錐の体積が問われましたが、高さをどのように求めるかはしっかり練習していないと難しく感じられたかもしれません。(ウ)は線の長さの最短距離を求める問題でした。問題集などでも頻度が高く、よく目にするものですが、展開図がしっかり書けたかどうかがポイントだったと思います。その後、30°、60°、90°の直角三角形を利用し、等脚台形を作った上で、上底と下底の長さの平均にもっていければ答えは容易に出せたと思います。
 総括として、全体的なレベルは例年並みか若干易しめだったと感じましたから、恐らく平均点は昨年より微増すると考えます。問3で出題されたような思考力が問われる問題は今後も出題されると思います。資料の整理、比例・反比例、三角形の相似を絡めた比、円の性質を利用した相似な図形の証明など幅広く学習し、手際よく処理するスピードの練習が必要になります。日頃から多くの問題に触れること、時間を意識して問題を解くこと、粘り強く考え抜く習慣をつけることが数学のレベルを上げていく方法で、入試対策に繋がると思います。(二宮)

【出題内容と配点】
問1.計算問題5題[計:15点]
問2.小問集合(基本)6題[計:24点]
問3.思考力問題4題[計:23点]
問4.関数[計:14点]
問5.確率[計:10点]
問6.立体図形(三平方の定理)[計:14点]
《中1内容:22点分、中2内容:25点分、中3内容:53点分》