国語が苦手だという感想はよく耳にします。一口に苦手と言ってもその実状は多岐にわたっています。低学年期であれば文字自体を受け付けないという事象が多いようです。その要因としては、漢字が読めない、カタカナが読めないなど単純に記号としての認識化が出来ていないことが考えられます。文字は視覚で捉えて発音したり、脳でその意味を認識する作業が必要になります。脳で認識の作業させるためには脳にその文字を予め認識の材料となるように定着させなくてはなりません。これが覚えるという作業にあたるのかもしれません。
「やかん」と書かれたものを見て「や」「か」「ん」と一文字一文字五十音図中の何番目かとかいうことは問題になりません。「やか」「ん」と区切って認識を進めるのか、「や」「かん」と区切るのか、「やかん」とまとめて認識を進めるのかは、先に述べた認識の材料として定着したものがあるのかどうかが鍵を握っていそうです。そう考えてみると一年生の文字を覚えるという作業はバカに出来ません。
小学一年生の時期は音声での語彙獲得が先行しているはずですから先に言葉で獲得したものを文字化していく作業となります。発声できるものを文字にする作業には記号である文字が必要となります。だから平仮名、カタカナ、漢字を覚えていかないといけないとなるのですが、高学年になるとこの作業は逆の工程を辿っていくことになります。専門的な用語を文字を通して理解を進めていくことになります。そうであるのならば、尚更低学年期の材料集めは必要不可欠と言えそうです。
単調な作業になりがちな書き取りですが、学習における大事な大事な一歩です。