ホワイトボードには前の授業の板書が残されています。理科であれば榎原先生によるまごうことなきメダカであったり、菜の花だったりが消すのが惜しいほどのクオリティーで描かれています。また算数では二宮先生の正確無比な正三角形やコンパスで書いたような円が描かれています。私の担当する国語という性格上あまり絵や図を書く必要はないのですが、説明文や物語文でも絵で説明したほうが理解しやすい場面に出くわすことが少なからずあるものです。以前にも紹介しましたが、私の画力は幼稚園児にも劣るのではないかという自覚はあるので、極力シンプルな直線で対象をあらわすよう心を砕いています。ですが、そんな私の努力を汲むことをしない素直な生徒たちは「何それ」「超下手くそ」と辛辣な言葉を容赦なく私に浴びせかけます。
国語では文語について説明をする単元があります。文語としてことわざや短歌、俳句などを紹介するのですが、その中に唱歌・童謡なども含まれます。「仰げば尊し」などがそれなのですが、当然生徒たちの反応は「どんな歌?」「歌って」と残酷な言葉を発してきます。勇気を振り絞って生徒たちのために私が歌うと「何それ」「全然違う」と私の気持ちは全く斟酌されていません。そもそも「全然違う」という感想は元の歌を知っているからこそ出る感想です。そんな惨めな私を見て生徒たちが少しでも何かに興味を持ってくれれば私も救われるというものです。 吉川