人生の最初の試練

 生まれてここまで十数年、まだまだできたてほやほやの小学6年生にも、この短い期間に苦労や苦い経験や挫折など、それなりの苦難をいささかでも経験してきたことでしょう。でもそれは、おそらくはちょっとした感情に起因するものであろうと思います。人生の長い坂道を歩んできた大人の目から見れば、他愛のないものです。
 そんな、まだまだ人生の機微も知らない小学6年生の前に、いま大きな壁が立ちふさがっています。それは、遠くから見える富士山のように美しいものではなく、まさに目の前にふさがるけばけばしくも高い壁です。
 とうとうこの壁にぶち当たるときが来ました。半年前には遙か遠くにあったはずのものが、今や手を差し出せばすぐにでも届く位置にまで迫っています。そう、中学受験という壁です。
 この壁をぶち破ることができるか、あるいは跳ね返されるか、間もなくその対決の時が来ます。
 中学受験を目指す小学6年生が体当たりで、まさに鉄壁の相手に果敢に挑みかかる。ここに至るまでには、様々な葛藤が子どもたちの心の中にあったことでしょう。友だちが遊んでいる姿を横目に塾に通った。毎日毎日、先生に叱られながらも自分の目標を達成するために塾に通った。夏休みも冬休みも休まずに塾に通った。そして遂に、真正面に立ちふさがる壁と立ち向かう決戦の時を迎えるカウントダウンが始まっています。
 中には壁を突破し、乗り越える人もいるでしょう。残念ながら力不足で跳ね返される人も出てくると思います。しかし、結果はそれほど大切ではありません。ここまで逃げ出さず、挫折せずにたどり着いたその道のりこそが何よりも大きな成果であると私は思います。私は、人生の中にこのような経験を持つことは一度や二度はあっていいと思っています。そして、中学受験生たちは見事にここまでたどり着きました。並大抵の小学6年生が出きることではありません。結果はどうであれ、最後まで頑張り通した子どもたちは、この先の試練も乗り越えていくことができるでしょう。よくぞここまで頑張った。あっぱれであると生徒たち一人ひとりを思いっきりほめてあげたい気持ちでいっぱいです。
 言いたいことはもう一つあります。何もかも一人でここまでやってこられたわけではありません。君たちを応援し、支えてくれた人たちがいたからこそできたことです。それは言うまでもなく君たちの家族です。家族への感謝の気持ちを胸に抱きつつ、正々堂々、人生初の試練に挑んできてください。