大学入学共通テストは中高一貫校生に有利?

 昨日「大学入学共通テストに向けた施行調査問題例」が公表されました。社会科では、現代社会と日本史Bから各1問が新聞紙上で取り上げられていました。
 現代社会からは、民法の成年年齢の引き下げをめぐる問題でした。「民法の成年年齢を引き下げることに反対」の主張をするために必要な資料を、与えられた6つの中から2つ選択する問題です。6つの資料のうち5つは細かなグラフで、これをひとつひとつ読み取っていくには、慣れるまではかなりの時間が必要です。さらに、選んだ2つを論理的に結びつけることができる能力も求められます。これらのことを制限時間内で処理する学力は一朝一夕に養われるものではありません。
 日本史Bからは、江戸幕府が滅亡することになった画期(ターニングポイント)を、「桜田門外の変」または「第二次長州征討(長州戦争)」のどちらかの中から選び、その理由を選択する問題です。ただ単に、桜田門外の変で井伊直弼が暗殺されたとか、第二次長州征討では幕府軍が敗れた、という歴史的事実を覚えているだけではなく、その結果どうなったか、を正しく理解していることが求められています。日本史の教科書を読むだけではなかなか身につかない本物の学力が要求されています。

 社会科の問題をのぞいただけでも、従来のセンター試験とは大きく傾向が変わっています。与えられた資料を駆使して自分の考えをまとめたり、歴史の因果関係をつかみ取り、歴史の教訓を現代に活かす試みを学ぼうとすると、長時間をかけた、しかも継続的な学習が必要になります。このように考えると、新しい共通テストに対峙するには中高6年間を一貫した教育方針の下で学習した受験生が明らかに有利になります。仮に、塾や予備校を一切利用しないとすれば、公立中学校で文科省指定教科書を使い、3年間学んで一旦分断されて高等学校で中学からの継続性のない学習をしているようなら、一貫校生との格差はますます広がることが予想できます。