幸福度ランキング

 6年受験コース社会科講習では、私が読んで感動したり、ウーンとうなずく入試問題を選び、それについて生徒に考え、記述してもらう演習を行っています。以前紹介した「會津」もそのひとつです。
 今回の課題は西武学園文理中の入試問題で、「国内総生産ランキング」と「世界幸福報告書」を示した2つの表から、日本は国内総生産が高い(世界3位)にもかかわらず幸福度はそれほど高くない(世界53位)のはなぜかを、様々な角度から考え、自分の意見を記述するものです。
 たとえば、日本国全体としての国内総生産は高くても、日本人個々の国内総生産には、統計では表すことの出来ない格差があります。経済的な面から見ただけでも日本人の幸福度には大きな違いが認められるはずです。
 残念ながら今の世の中は、経済的格差がそのまま学歴格差につながり、さらには将来の収入格差へとつながる悪循環が繰り返される仕組みが出来上がりつつあります。これは断ち切らなければなりません。しかし、このような現実を子どもたちに気づかせる機会はなかなかありません。経済的な豊かさと幸福度とのギャップの大きさは、子どもたち、特に塾に通い私学を受験できる環境にある子どもたちにはなかなか実感がわかないようです。学校においても、ちょっと周りを見るだけでは友だちの家庭環境まではなかなか捕らえられません。しかし、中には大変厳しい生活を送っている友だちがいるかも知れません。
 このように、ちょっと自分の周りを見るだけでは、なかなか気づきにくいことがらが子どもたちの周りにはたくさんあります。このことに気づかせてくれるのが、教育であり、読書であり、社会経験です。
 いま、塾に来て勉強している子どもたちは、例外はあるにせよ相対的には経済的に恵まれた環境にいます。これは現実であり、ある意味宿命とも言えるものです。このことを恵まれない子どもたちに対して申し訳なく感じるのではなく、自分が恵まれている自覚を持って、今は勉強に取り組むことです。そして、しっかりと学問を修め、将来は格差を解消し、日本の幸福度を押し上げる責任が彼らにはあります。そのために勉強するのだということを、私は塾での授業を通じて生徒たちに訴えてきたつもりでいます。