人の考えないことを考える

 今年も日本人科学者がノーベル賞を受賞しました。素晴らしいことだと思います。よくもまあ、毎年ノーベル賞受賞者を出すほどの頭の良い人たちがこの狭い日本にいるものだと驚嘆してしまいます。
 受賞者の先生方の会見を新聞で読んだり、あるいはテレビで聞いたりすると、どの先生方のお話しの中にも若い人に向けて共通して強調している点が見られます。それは「人と同じことをするな」、「人の考えないことを考えろ」、「人のやらないことをやれ」という言葉です。事実、今回受賞の大隅先生も、人のやることとは全く逆のことをなさったとか。
 カワウソがカワセミに恋をすることがないように、ノーベル賞には全く無縁な私ではありますが、僭越ながら天才たちが言うこの言葉は私にも十分に頷けるものがあります。

 ここからは社会科の記述についてです。
 国語科と異なり、社会科の記述では「あなたはどう考えますか。」あるいは「あなたの考えを述べなさい。」との問いかけがあります。このとき、多くの受験生が書くような平凡な解答では採点者の心をつかむことは出来ません。例えば、ある中学の入学試験でこのような記述問題がありました。
 「地球温暖化を防止するために、あなたはどのようなことをしていますか。」
 出版社の模範解答は「こまめに電源を切る。」でした。これではつまらない。全く平凡です。このような答案に学校側が満点を与えたとはとうてい考えられません。
 私の言いたいことは、社会科の記述においても、ノーベル賞を受賞した先生方の言うごとく「人と同じことをするな」、「人の考えないことを考えろ」、「人のやらないことをやれ」、つまり「人が書かないことを書け」ということです。このことは、大学入試の小論文についても言えることです。
 毎週月曜日に開講している社会科記述問題演習講座において、記述で高得点する方法を指導しています。授業では長文の問題文を読み、その中の設問に記述で答える形式の過去問題を取り上げています。記述する際、生徒たちから意見や考えを聞き、どのような視点から文章を書いていくかを話し合います。ここで役立つのが、9マスのボックスシートです。今年の中学受験生は個性的な生徒が多く、実にユニークで、私から見ればまっとうな答案を書くことが出来ています。少なくとも、中学入試の社会では記述で差を付けることが出来そうです。