教育

神奈川県立高校入試 数学問題分析等

 出題内容に関しては例年と変わらなかったが、出題形式に関しては若干の変化が見られた。昨年度は問3~問6の13問(61点分)すべてが選択肢から答えるマークシート形式だったが、今年度は問3と問4~問6の一部の問題で従来型の解答を書かせるものに戻っていた。また、問1の計算の基本問題、問2の因数分解や2次方程式の計算などを含む小問集合がすべて4択からの選択問題と変わっていた。これにより、マークシート形式の問題は全体の64点分の配点となり、トータルでは昨年を上回るものとなった。更に、図形による証明問題では、2か所の拠りどころ(根拠)を答えさせる空欄補充問題に変わっていた。
 全体の出題レベルに関しては、基本レベルの出題が50%程度、標準レベルの出題が25%程度となっており、昨年度とさほど変化は感じられなかったが、問4の関数の問題では計算が面倒な数字を使って、問題を解き進めなければならず、ここで時間をかけ過ぎてしまった生徒が多くいたのではないかと推測される。そういう意味では少し意地悪な問題だったと感じた。問7の円の性質を利用する証明問題では、前述の通り、完全証明でなくなった分、証明に関しては相当易しい問題になってしまった。
 出題分野としては、中1内容が25点分、中2内容が27点分、中3内容が48点分であった。昨年度は中3内容で60%強出題されていたことを考えると、中1や中2内容からの出題が増えたことになるので、立体の体積・表面積、方程式・不等式、確率などはしっかり復習しておかなければいけないだろう。
 最後に、個人の戯言も含まれる内容になってしまうが、2020年から大学入試が新しく変わろうとしており、現在その改革が進められている最中である。これを受けて、高校入試や中学入試の出題内容や入試形態に変化が見られるようになってきた。そんな中、今年度の神奈川県立高校入試の数学問題はどうだろうか。全体の64%がマークシートで答えさせる出題だった。簡単に言えば、4つの選択肢の中から正解を選ぶものだ。図形の証明問題では完全証明でなくなってしまった。入試本番に向けて、時間をかけて完全証明の練習をしてきた生徒からすれば、今回の出題内容・形式をどのように感じたのか是非聞いてみたいと思った。確率の出題こそあったものの、資料の整理の問題では度数分布表から平均値を求める平易な出題に変わってしまった。
 今回の数学の出題内容をひとことで表現すれば、世の中の流れに逆行したものだったと言わざるを得ないだろう。後退の原因の一つにマークシート形式が考えられる。採点の効率化や採点ミス防止のために導入したのだろう。もちろん、全否定するつもりはないが、他教科ならまだしも数学で全体の64%にあたる問題で4択から答えを選ばせる入試はいかがなものかと言いたい。また、2013年度入試から数学の出題に変化が見られ、ようやく神奈川の高校入試もいいものに変わっていきそうだと期待していた。実際、その当時は整数の性質の説明問題が1題、図形の証明問題で1題と2つも完全証明が出題された。速さの問題を連立方程式を利用して、過程から答えに至るまですべて記述させる問題も出題されたことがある。ここ数年でも、資料の整理から出題されるようになり、いろいろと計算したり、図やグラフなどの資料から内容を確認し、解き進めないと正解に辿り着けない正誤問題などが出題され、問題に工夫も見られた。結果として、情報処理能力を見るのに適した良問だとも個人的には感じていた。しかし、それも今回の入試では外されていた。
 これからの時代に必要な能力として考えられている思考力・判断力・表現力というものがある。これらを中学生として3年間かけてできる範囲で努力、工夫しながら習得し、それを高校入試で試されるというものになっていかなければいけないはずだ。それなのに・・・・という気持ちだ。今回の数学の入試問題を見て、神奈川の高校入試問題はこれでいいはずがないと感じた次第である。
(この記事の内容は、教室の統一意見ではなく、あくまでも私見なので、この点に関してはご了承いただきたいと思います。)

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